学級経営

【アドラー心理学】勇気づけを生かした学級経営【学級担任目線】

投稿日:2020年7月11日 更新日:

【初めてでも使える】アドラー心理学を学級経営に生かす【中学校】

学級経営は担任として永遠の課題である。

なぜ『永遠の課題』かというと,それは学級経営に『答えがない』からである。


その答えのない学級経営に対して,大きな指針を与えてくれるのが

『アドラー心理学』

です。


アドラー心理学をよく知らない人でも,

少なくとも言葉だけは聞いたことがあるはずです。

でも,アドラー心理学って学級経営に生かせるの?

具体的にどんなふうに使えばいいの?

と疑問に思っている方もいるかと思います。


私は,教職20年以上の中学校教師です。

何年も学級担任を経験し,毎年試行錯誤しながら学級経営をしています。

今ではこのアドラー心理学の手法を学級経営に生かして

担任としてリーダーシップを発揮しています。

ではアドラー心理学を生かした学級経営について紹介します。

【生徒が変わる!】勇気づけを生かした学級経営とは?【具定例あり】

この記事で伝えたいことは次の2つです。

・日頃から生徒の良い面を見つけること。
・生徒の話にしっかりと耳を傾けること。

ごくごく当たり前のことですが,アドラー心理学と照らし合わせて

さらに,私自身の経験も交えて具体例をもとに紹介します。

アドラー心理学は『勇気づけの心理学』とも言われます。


勇気づけとは

『困ったことを克服する力を与えること』

です。


中学生は思春期真っただ中の時期です。

自分自身のことや他人のことで様々な悩みを抱えます。

学級担任にとってこの『勇気づけ心理学』を知っているか知っていないかでは

生徒へのアプローチの仕方に大きな違いが出るのです。

『勇気づけ』には3つの態度(教師自身の内なる姿勢)と5つの技術(生徒に対する関わり方)があります。

3つの態度
・相手に寄り添い「共感」する姿勢
・相手がどのように振る舞っても,相手の背後にある善意を見つける「信頼」の姿勢
・上下関係でなく,無条件に相手を敬い,礼節をもって接する「尊敬」の姿勢

5つの技術
・感謝を表明すること
・良い面を見つけ,生徒に伝えること
・聴き上手に徹すること
・相手の進歩・成長を認めること
・失敗を許容すること

この中で学級担任として大切なことが次の2つです。

・良い面を見つけ,生徒に伝えること
・聴き上手に徹すること

この2つについて詳しく解説していきます。

【良い面を見つけ,生徒に伝えること】

中学校3年生のA子は学級委員長の経験があるリーダーである。

3年生の冬になり,年を開けた1月に実力テストが実施されました。

A子は自分の解答が終わって時間が余ったのか

残り10分の間,居眠りをしてしまったのです。

この時期にテスト中に居眠りなんて・・・受験生としての自覚があるのか?

実はこれには訳がありました。


このテストの1週間前にA子は推薦受験で志望校に合格していたのです。

進学先が確定したA子にとってテストに対するモチベーションが下がっていたのです。

さて,このA子に対して,皆さんならどうしますか?

「受験に合格しているのだから仕方がない」と言って放っておきますか?

それとも指導しますか?指導するなら,この後何て声をかけますか?


A子の担任だった私はテスト後に読んでこんな話をしました。

先生「A子,テストの出来はどうだった?」
A子「えー,まあまあです。でもちょっと疲れました。」
先生「そうだな,先週入試があった直後だったから疲れもあるよな。」
  「話は変わるけど,A子も含めて推薦で合格した生徒に先生はお願いがあるんだ。」
A子「なんですか?」
先生「推薦で合格した生徒は,これから受験を控えている生徒のサポートをやってほしいんだ。」
A子「はい,わかりました。任せてください!」
先生「うん。頼もしいな・・・。でも,心配なことが1つあるんだよ。」
A子「な,何ですか?」
先生「A子,さっきのテスト中,居眠りしていたよな。」
A子「は,はい・・・・」
先生「他の生徒から見て,テスト中に居眠りするような生徒からサポート受けたいと思うか?」
A子「そ,それは・・・・」
先生「A子は今まで学級委員長も経験しているし,誰に対しても面倒見がいいし何より優しい面がある。だからみんなからも信頼されている。これからの受験までの期間,A子のその良さを生かしてみんなのために力を発揮してほしい。それがこの学級でA子の存在価値の1つなんだ。」
A子「はい。わかりました。」




翌日,A子からこんな手紙をもらった。

「先生昨日はすみませんでした。今日からみんなのためにしっかりとサポートしていきます!」




この事例の大切なポイントは,日常の様子からA子のよさをしっかりと見ていたことにあります。学級委員長としての経験,面倒見の良さ,みんなからの信頼の厚さ,これらの事実を担任がしっかりと見ていたからこそできる指導である。


普段からA子のことを見ていなければ「テスト中に寝るなんてけしからん。合格したからって気を緩めるな!」と言って終わりなのです。

学級担任として,生徒の些細な言動を日ごろから観察する習慣をもつ。

これがアドラー心理学を生かす学級経営の基本です。

【聴き上手に徹すること】

ある日,B子が担任の私に相談してきました。


先生,最近私いじめられているのです。




クラスの友達から無視されたり,陰で悪口を言われたり

教室にいると遠くから私の方を見て笑ったり・・・

気の合う友達に相談してもあんまり真剣に受け止めてもらえなくて。

「いつ頃からそんな状態になったんだい?」と聞くと

これはここ1,2週間くらいの話なんです。

でも,私って小学校の時もいじめられていたんです。

「小学校の時も?その時はどんな感じだったの?」

私の家って親の仕事の関係で転校が多くてあんまり友達出来なかったんですよ。

せっかく仲のいい友達ができても転校で別れ別れになってしまう。

いつも傷つくのは自分。なんで私だけこんな苦しい思いをしなければいけないの?っていつも思っていました。


そして,自分もあんまり友達作らないようになってしまって・・・

初めは人間関係のトラブルがきっかけでいじめが始まったのかなと思いました。

しかし,よくよく話を聞いてみると,過去の転校体験がもとで自分から友達に声をかけることが少なかったことがわかりました。

そして,自己肯定感が低くなり,「自分なんてどうせ・・・」という意識がとても強いことがわかりました。


最初に訴えてきたいじめに関しても,周りの生徒への調査を行ったところ,B子が一方的に妄想?していただけで本当は仲間外れなんかしていなかったことがわかりました。

もし,私がB子の訴えを聞いた時に心の中で「あ,人間関係のトラブルだな,これは・・・。じゃあ昔のあのエピソードでも話すか」と決めつけてしまったら,その後の気づきには到達できなかったでしょう。

つまり,『聴き上手に徹する』の前に

『結論を考えずに話を聴く!』

ことが大切なのです。


教師とは様々な生徒の悩みを聞いているので

少し生徒の話を聞くと「あ,あのパターンだな」と

過去の経験に照らし合わせて同じ型だと思いこんでしまうことがあります。

生徒の悩みは100人いれば100通りなのです。

だから聴きながら結論を頭の中で出さないように聴くことが必要です。

【知らない先生が多い】勇気づけの背景にあるもの【学級経営の基本】

生徒に『勇気づけ』を与えるには

『良い面を見つけ,生徒に伝えること』
『聴き上手に徹すること』

が重要だという話をしてきました。


ではなぜ,この2つが重要なのかそれには理由があります。

子供が勇気をもって何かにチャレンジするには

『依存先がしっかりとある!』

ことが前提だからです。


例えば,自転車の練習を思い出してください。

初めは親が後ろで支えるところから練習しますよね。

そのうち,子供は「親が後ろで支えてくれる」という安心感があるので

もっと練習しようとチャレンジし続けます。

その結果,いつの間にか自転車が乗れるようになるのです。

このように,子供にとって『親』という依存先がしっかりとあるから

できなかったことに挑戦する勇気をもらうわけです。


小学校のころ授業参観もいい例です。

授業が始まる直前になると,子供は「お母さん見に来てくれてるかな?」とそわそわして何度も後ろを振り返ります。

そして,お母さんがやってくると喜んで前を向きます。

こんなふうに,親が見てくれているという安心感が次へのステップとなるのです。

教師は親ではありませんが,学校の中では唯一の大人です。

何かに挑戦しようとするときに,

『担任の先生が見てくれている』

という安心感がないと勇気をもって挑戦しようとはしないものです。


逆に普段から『みてくれている』という感覚を持っている生徒や学級集団んには何事も挑戦しようという雰囲気が感じられるものです。

つまり,『勇気づけ』の背景には

『担任の先生が見てくれている』

という意識を育てることが大事なのです。

【視点が変わる】生徒が勇気をもって挑戦できる学級に【生徒も変わる】

『勇気づけを生かした学級経営』と題してこの記事を書いてきましたが,いかがだったでしょうか?

アドラー心理学に関する本はたくさん出ています。

どの本も系統立ててわかりやすく書いてあります。

しかし,勘違いしてほしくないのは,

あくまで本に書いてあることは手段に過ぎないということです。


学級経営に生かすためには,本に書いてある通りにやろうとすると失敗します。

本に書いてあることは手段であって目的ではないからです。

つまり,アドラー心理学を学級経営に生かすための目的は何か?

それは『生徒の成長』です。


生徒の成長のために,今回特に解説した

『良い面を見つけ,生徒に伝えること』
『聴き上手に徹すること』

この2つを実践してください。

サイトマップへ

ホームへ

スポンサーリンク

スポンサーリンク

-学級経営
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

【目標設定の仕方】生徒を伸ばすためは意識を変えてはいけない!

Contents1 【挫折】目標を立ててもうまくいかない【三日坊主】2 【目標設定】意識を変えてはダメ。変えるのは○○!【最短で変わる】2.1 【具体例①:スマホや漫画でなかなか勉強に集中できないAさ …

【学級担任の視点】成功する生徒、失敗する生徒の見分け方【行動パターンあり】

Contents1 【先輩から学ぶ】成功する生徒、失敗する生徒の違い【生徒理解】2 【アドラー心理学】自分の未来は自分で決める【自己決定論】3 【誰にも変えることはできない】水の流れの原理原則【例外な …

【当たり】基準を高く持ち、妥協とあきらめをしない教師【担任】

Contents1 【学級担任】今年の担任は当たりだ!と言われたい【願望】2 【基準】保護者や生徒から認められる担任になるには【決意】2.1 【①『世界一の学級』を目指せ!!】2.2 【②生徒に高い目 …

【やってはいけない学級経営】学級崩壊を引き起こす5つのパターン【根拠あり】

Contents1 【学級経営の難しさ】なぜ、学級経営がうまくいかないのか?【悩み】2 【ダメな学級組織とは?】学級崩壊を引き起こす5つのパターン【実体験あり】2.1 【恐怖で人を動かす学級集団】2. …

【必須条件】学級担任として大切なこと【心得】

Contents1 【担任のリーダーシップ】学級集団としての成長を促すには【解決策あり】2 【覚悟が必要】『最後は先生が責任をもつ』という度量【具体例あり】2.1 【合唱コンクールの練習で自信喪失な我 …